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今月は、最近の岩波新書から2冊紹介します。
日本のデザイン ―美意識がつくる未来
原研哉著(岩波新書1333)
| 1冊目は、10月に出た「日本のデザイン―美意識がつくる未来」です。まさしく歴史的な転換点に立つ日本。経済・文化活動のあらゆる側面において根本的な変更をせまられるいま、この国に必要な資源とは何か、それは千数百年にわたって醸成されてきた日本の美意識ではないか、と説く著者は日本を代表するデザイナーだそうです。
繊細、丁寧、緻密、簡潔。そんな価値観や感受性が日本のものづくりを支え、国を繁栄させてきた。ありふれた日常空間の始末をきちんとすることや、それをひとつの常識として社会全体で暗黙裡に共有すること、美意識とはそのような文化のありようではないか、と説いています。なお、潜在する可能性を可視化し、具体的な未来の道筋を照らし出していくこと、あるいは多くの人々と共有できるビジョンを明確に描き出すことこそデザインの本質であり、本書のタイトルをそのような文脈において理解してほしいといっています。
新しい世界史へ ―地球市民のための構想
羽田正著(岩波新書1339)
| 2冊目は、11月に出た「新しい世界史へ―地球市民のための構想」です。グローバル化が進み、ますます一体となる現代世界。その現実を前に、従来のヨーロッパを中心とした世界史像は、刷新されるべき時を迎えている。今この時代にふさわしい歴史叙述とはどのようなものか。歴史認識のあり方、語り方を問い直し、「世界はひとつ」という視点から地球市民のための世界史を構想する必要がある、と説いています。
「世界史」という科目名は、1951年の学習指導要綱で登場したようです。それまでは高校教育課程でも「東洋史」「西洋史」という科目名に分かれていたようで、世界史が新設された事情は必ずしもはっきりとしないらしい(占領軍の示唆とも言われるらしい)。しかし、主要な大学では当時から60年あまり後の今日に至るまでなお、「東洋史」「西洋史」という戦前からの教育研究の枠組みを堅持しており、世界史という枠組みでの教育研究が系統的に行われていないことの弊害は深刻らしい。それは、大学の史学科卒業生が高校社会教師となるが、大学で世界史把握の方法を教えられておらず試行錯誤よりないからとのこと。
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